インテューイティブ・サージカル【ISRG】の概要と、決算、株価見通し

Intuitive Surgical(Ticker:ISRG)の概要

手術ロボット DaVinciを作っている会社

Intuitive Surgical(インテュイティブ・サージカル)は手術支援ロボットのdaVinciを開発・販売している会社です。

日本ロボット外科学会 – da Vinciの紹介

da Vinciの手術では、1〜2cm程度の小さな創から内視鏡カメラとロボットアームを挿入して、外科医は左上の写真のようなコンソールから3Dモニターを見ながら手術をします。

ゲームセンターみたいですね!

1999年にIntuitive Surgical社から臨床用機器として発売され、日本でもここ10年ほどで取り扱う施設がどんどん増えています。

手術支援ロボット自体は他社も開発・販売を行っているものがあるのですが、パイオニアとして現在最も多くの病院で取り入れられているのがIntuitive Surgicalのda Vinciになっています。

ロボット手術って何が良いの?

ロボット手術のメリットは多くのサイトで「創が小さい」ということが真っ先に挙げられていますが、ぶっちゃけ外科医からすれば創のサイズはおまけみたいなものだそうです。

ロボット手術が普及する少し前から腹腔鏡や胸腔鏡などと呼ばれる内視鏡を使った手術が年々増加しています。

腹腔鏡手術はお腹を大きく開ける開腹手術と違って、

  • 創が小さく術後の痛みが軽い
  • 術後の胃腸機能の回復も早い
  • 癒着(お腹を開けた部分の組織がくっついてしまうこと)しづらく、次の手術や妊娠を考える女性にもメリットが大きい
  • 外科医は見ている範囲を他のスタッフ全員と画面で共有出来る

などのメリットが挙げられています。

そして腹腔鏡手術のメリットに加えて、ロボット手術では

  • 3Dモニタでより立体的で繊細な画像が見られる
  • 腹腔鏡の機器よりも細かな動きが可能で、より人間の手関節に近い動きが出来る
  • 直視では見づらい角度にもアームが挿入可能になる
  • 術者も座って手術出来るので負担が少なく、また老眼を気にしなくて良い(笑)

といったメリットがあります。

Intuitive Surgicalのビジネスと株価

主力はda Vinciの販売+機器販売やメンテナンス

主力は当然ながらda Vinciの開発・販売なのですが、このような医療精密機器の場合、当然ながら「機械を売ったらそれで終わり」にはなりません。

  • 本体システム以外に使う消耗品やアクセサリー
  • 外科医へのトレーニング
  • 購入後のメンテナンス

などを一括したビジネスモデルになります。

実際da Vinciを導入している病院では、da Vinci購入費(保守料とリース料)で億単位、加えて年間のメンテナンス、消耗品にも数千万円かかっています。

2019年Q4決算でも、利益の約半分はda Vinciシステムそのもの以外の機器やアクセサリーの売り上げによるものでした。

また、daVinci の操作技術を生かして、新たな医療プラットフォームである「ion」を開発し、これもFDAの認可を得たことが発表されています。

ionは肺生検に用いられる機器で、例えば検診で肺に異常があると言われた場合に、それが癌なのかどうかを調べる時に、その異常部分をほんの少しだけ採取して癌かどうかを調べるのが肺生検です。

この時に従来より優れた操作性で目的の場所に到達出来るように開発された機器のようです。

ionはまだ実際に臨床応用はされておらず、今後どのくらいの利益拡大が見込めるかは正直分からないですね。

安定したキャッシュフロー

上述のda Vinciの売上はシステム、周辺機器含めて好調で、安定した営業キャッシュフローが続いています。

毎年綺麗に売上が伸びていますね。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー÷売上高)を計算してみると、毎年35%前後で推移しています。

長期投資の対象としては安定した収益のある企業といえるでしょう(*´艸`)

2019年の株価推移

安定した成長を見せるS&P500指数と比較しながら株価推移を見てみます。

オレンジ色がISRGの株価、青がS&P500の株価です。

トータルで見るとここ1年のリターンは+14%とS&P500のインデックス投資よりもリターンは勝っていますね。

ちなみにISRGは5年間で株価は+250%という成長です。

配当は出ていない会社なので、投資する場合はグロース投資でキャピタルゲインを狙う銘柄になります。

2019年Q4決算概要

そんなISRGの2019年4半期決算が1/23に発表されました。

  • da Vinci新規出荷数:336台(前年同期比+16%)
  • da Vinci総数:5,582台(前年同期比+12%)
  • 売上高:12億77770万ドル(前年同期比+22%)
  • 純利益:3億5770万ドル(前年同期比+22%)
  • EPS:3.48ドル

市場予想を上回る良い決算でしたね。

売上高、EPSとも昨年のQ4決算から上昇し、事前の予想も上回る結果でした。

この情報は1月頭の段階で「予想を上回りそうだぞ〜」という内容のアナウンスが出ていたので、決算発表直後に大幅な株価上昇はなかったですね。

というか、中国で発生したコロナウィルス肺炎の影響で米株が全体に下げていたので、ISRGも決算発表日の株価は前日比で-4.2%の下落でした(^_^;

現在の株価と今後の見通しについて

da Vinci 特許切れ問題について

現在、Intuitive Surgical社にとって一番の懸念材料となっているのが、da Vinciの特許切れ問題です。

Intuitive Surgicalはda Vinciのシステムを動かすために数多くの特許を取得しているのですが、そのコアとなる技術の特許の多くが2019年で期限切れとなりました。(Patent Notice – Intuitive Surgical)

ここで特許切れを狙って参入してくる企業が沢山いるであろうことは想像がつきます。

ただ、そうはいってもこういった大型の医療機器はまず認可を得ることが容易ではないため、他社が参入してきたとしてもすぐに売上に直結するということはないだろうと思っています。

大型の医療機器の場合は一旦これだけ市場を広げてしまえば、病院としても後発品が出来たからといってじゃあ安いからこっちに変えよう、と別会社に乗り換えられるものでもありません。

外科医にとっても一旦慣れた機器があると、すぐに次の機器に乗り換えられるかといえばそうでもないでしょう。

ライバル企業

Intuitive Surgicalの業績がすぐに悪化し始めることはないとはいえ、やはり参入してくるライバル企業は気になりますね。

現在一番の有力なライバルになりそうとされているのが、Googleの子会社とJohnson&Johnsonの子会社が合同で設立したVerb Surgicalという会社です。

米国のテックとヘルスケアのトップ企業がコンビを組んで、AIを搭載した高度な手術ロボットを開発しており、2020年に製品化予定と言われています。

まだ詳細は発表されていませんし、実際に臨床で利用されるようになるには数年以上かかると思いますが、da Vinciに匹敵する技術を持っていると言われています。

Verb以外にも、ロボット手術に参入しようとしている企業は複数社います。

実は日本の企業もいたりします。

個人的には現在ペースメーカーでシェアの強いメドトロニックなんかは気になったりします。

ただ、こうして見ると da Vinciが現在応用されている手術とは違う分野でそれぞれ攻めているようにも見えるので、拮抗するというよりはしばらくは違う分野のロボット技術として他社が浸透していく可能性もあるのかも?と思ったりします。

現在の株価について

今後も売上成長は期待出来ると思われるIntuitive Surgicalですが、現在の株価が買いかと言われると、これは難しいところではないかと思います。

  • 実績PER:46.1
  • 予想PER:41.9
  • PSR:15.7
  • PBR:8.28

正直今の株価がパッと見で割安かと言われればNoだと思いますが、これだけロボット手術分野でシェアを広げてきたいわゆるwide moatがどのくらいこれから先も収益を生み出してくれるかどうか次第ですよね。

  • ROE:19.8%
  • ROA:16.6%
  • ROIC:19.8%

ROEはアメリカ市場の平均を考えると高いわけではないですが、ROA、ROICとも高いので利益率は高いと言えます。

特にROICはずっとROEと一致していますから、負債のない経営状態で安定はしているのかと。

配当はなくキャピタルゲインを狙う銘柄ですが、今回の決算を受けて、アナリスト予想の1年後のtarget priceが引き上げられていて、平均で$660(max $690、min $633)となっています。(1/26現在の株価は$589)

まーただアナリストの予想は好調な企業についての予想は楽観的になりがちなので、あんまり信じるのは禁物だとも思いますが、コロナウィルス肺炎の影響で全体的に株価下落傾向の今、買うなら悪くないのかなと思ったりします。

特許切れと今後の収益性についての私見

薬の特許については、特許が切れるとすぐに後発薬(ジェネリック)に参入する企業が現れますし、病院としても採用薬を後発品に切り替えるだけであればそれほどコストはかかりませんから、特許切れは企業にとって大きな収益減になります。

ただ、da Vinciほどのシステムの特許が切れたからといって、後発企業の新規システムがまず認可されるまでにも数年はかかりますし、その後も病院としても乗換えのコストが非常に高いのは事実です。

これから新規にロボット手術導入を考える病院であれば、後発システムがより安価に利用出来るのであればそちらに流れていく可能性はあり、Intuitive Surgicalは新規導入にはこれまでより苦労する可能性は高いでしょう。

同社の利益のうち半分以上は付属する機器やメンテナンス等から収益を上げていることもあり、一旦daVinci導入した病院はその後のメンテナンス費や消耗品を当面はずっとIntuitive Surgical社に支払続けることになります。

外科医としても一旦da Vinciで修練を積んだ後に、別会社のシステムがすぐに扱えるかというと、微妙な操作性などが異なる機器にすぐに乗り換えられるかは疑問です。

ですので特許切れ自体はすぐには収益に影響しないというのが私の意見ですが、そもそも現在の株価がそれを織り込んで期待上げしているかなという気もしています。

私は決算が良かったので、しばらくはこのままホールドするつもりでいますが、今後売上の鈍化が見られるようであれば、売却を考えるつもりでいます。

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